南房総(房総半島南部)を舞台にした小説、エッセイ、紀行文などを紹介していきたいと思います。

また舞台が南房総でなくとも、作者が南房総出身者の作品もぜひご紹介したいと思います。

 

第二回 贄の夜会 香納諒一 著 文芸春秋

 

「房総本」といっても、この作品の中では房総が舞台になるのは、ほんの数ページです。

警視庁捜査一課の刑事である主人公、大河内茂雄の別居中の妻が白浜町に住んでいるという設定になっており、彼が「刑事を辞めよう」と考えて妻に会いに行くため、しばし白浜町に舞台が移ります。

ぐいぐい読ませる展開の中、主人公が白浜町で過ごす数日間が、読者にとっても休息期間になっています。

私が好きな娯楽小説は以下の点を満たしているものがほとんどです。

ぐいぐい読ませる筆力によって書かれたものであること(比較的短い時間でその世界に入り込めること)

抒情的であること

カタルシスがあること

後味が(あまりに)悪くないこと

恋愛や友情などの人間関係が描かれていること

地理上の舞台がそれなりに魅力的に書かれていること

 

・・・・くらいでしょうか。

この作品はすべて満たしていますので、房総がほんの少ししか登場していなくても「房総本」としましたm(_ _)m

 

おすすめ度 ☆☆☆☆

房総に行きたくなる度 ☆☆